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 オランウータンと熱帯雨林

 

 オランウータンは東南アジアに住む赤毛の大型霊長類。世界中でインドネシアとマレーシアの熱帯降雨林にしか住んでいません。もっと正確に言うとスマトラ島とボルネオ島の一部にしかいない、貴重な生き物なのです。チンパンジーやゴリラと違い群れを作らないオランウータンは一生のほとんどを熱帯林の木の上で過ごします。木の実、皮などを食料とするため、彼らは森がなくては生きていけません。

 近年インドネシアの熱帯林は数度にわたる大規模な山火事で大きな被害を受けました。その上、ボルネオ島は石油、石炭、天然ガスといった地下資源の宝庫なので、開発急激に進んでいます。これらの資源の多くは日本に輸出されるのです。


 焼けてしまった森(手前はもとの森林)と石炭開発のために切り開かれた森。調査地の対岸の森は石炭開発の為にすでに大規模に破壊されている。保護調査委員会ではこの開発地と調査地の間に保護林(バッファーゾーン)を残そうという要望を続けている。現在対岸の森のオランウータンは川沿いに残されたわずかの樹木を頼りに暮らしている。

 

 今、日本は空前のペットブームだといいます。1999年、大阪のペットショップで密輸されたオランウータンの赤ん坊4頭が見つかりました(おおさか4事件)。野生のオランウータンの赤ん坊は片時も母親のもとを離れません。ですから赤ん坊がペッショップにいるということは当然、その母親が殺されているということを意味するのです。残念なことに日本はその密輸・密猟者達にとっての最大の市場なのです。

 こうして森林が荒らされていく中、野生のオランウータンの数はどんどん減ってきています。群れを作らない単独生活者のオランウータンは調査が難しく、その実態はまだまだ謎だらけです。このままでは謎のまま、オランウータンのほうが先にいなくなってしまいそうです。リハビリ施設で飼われているのではない、本当に野生のオランウータンを調査している研究者はわずかです。

 焼け跡の森に座るオランウータン。この後しばらくの間焼けた森をじっと眺めていた。木の上で暮らす野生のオランウータンが地上で観察されるのは珍しい。しかし火事の後の森では赤ん坊を連れた母親の姿までが観察されている。一般に地上は危険なため、子供を連れたメスが地上を移動するのは特に珍しい。山火事のあと倒木や枝枯れが多く、樹木を渡り歩くのは落下の危険があるからなのだ。
 

 キャンプ・カカップは、こうした研究・調査の基地となって、今日も現地のスタッフが朝早くからオランウータンの観察を続けています。野生のオランウータンの生態調査のためには、気長に追跡調査を続けていくことが最も重要です。しかし、広い森の中に単独で生活するオランウータンの追跡は大変困難で、長期の研究はまだほとんど例がありません。

  しかしこうした研究者も調査・研究よりもその保護活動で大忙しというのが現状です。また日本では開発のための資金は集まっても保護のための資金というのはなかなか有効には使われていません。キャンプ・カカップの運営も民間の基金オランウータン基金等を中心としたもので、開発の波のなか、将来への長期的な資金繰りが大変です。